当外来は、長谷川教授、笠松先生、内田先生、宗石先生、西村先生が担当しています。全身性強皮症、SLE、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、血管炎、ベーチェット病など、皮膚病変を有する膠原病(リウマチ性疾患)を対象に、グループで診療しています。これらの疾患の大半は厚生労働省の難病に指定されており、個々の症例によって多様性があるため、診断や治療が容易ではありません。これらの疾患では早期に診断し、進行する可能性が高い症例では、初期段階で十分な治療を行い寛解を目指す必要があります。診断には目に見える皮膚病変が決め手になることが多く、我々は早期診断・早期治療を心がけています。生物学的製剤と呼ばれる注射剤や分子標的薬も登場してきており、強皮症、SLE、皮膚筋炎ではいくつかの新薬の臨床試験も行っていおり、ご参加いただける患者さんを募っています。また、私たちの研究室では、強皮症などの新規治療の開発に向けてマウスモデルを用いた基礎研究や、多施設共同の臨床研究も継続しています。全身的な免疫疾患の診療や、新規治療の開発に一緒に取り組んでいただける仲間をお待ちしております。
ビデオキャピラロスコープ(毛細血管顕微鏡)
全身性強皮症や皮膚筋炎の患者さんでは、爪の根本に写真のように特徴的な毛細血管の拡張や減少、毛細血管からの微小出血点などが認められます。これらの疾患の診断や活動性の評価に有用で、当教室ではこの機器を用いた臨床研究も行っています。
皮膚外科・腫瘍グループは、週3回の専門外来を行っています。この外来には、福井県全域や、時には近県からも患者さんのご紹介をいただいており、特に皮膚悪性腫瘍の患者さんを中心に診察をしています。当外来において、手術や薬物治療、放射線などの治療方針を決定しますが、その際は患者さんやご家族の意向をくみ、十分に話し合ったうえで最善の方法を選ぶように努めています。手術については、事前に手術カンファレンスで診断や術式を詳細に検討し、グループ全体として技量や知識を共有したうえで、チームとして一つの一つの手術に臨んでいます。薬物治療などにおいても、指導医から主治医、研修医がそれぞれ役割分担を行い、質の高い医療を提供することを心掛けています。
当外来では、診療内容の共通性と急速に進化する治療法に対応し、乾癬とアトピー性皮膚炎に特化した専門外来を開設しています。2024年8月現在、両疾患を合わせて16種類の生物学的製剤と、4種類の内服分子標的薬を使用可能です。分子標的外用薬(JAK/PDE4阻害薬)も充実し、この複雑化した薬剤の中から最適な治療を提供できるよう努めています。大学病院としての使命の1つである、高度な専門治療や治験を含む最先端医療を積極的に取り入れつつ、安心して治療を受けられる診療環境を整えています。
当施設では色素レーザーとQスイッチルビーレーザーを保有しています。色素レーザーは単純性血管腫、乳児血管腫、毛細血管拡張症などに対して、Qスイッチルビーレーザーは異所性蒙古斑、太田母斑などに対して保険適用となっております。 疾患の特性として乳幼児の患者さんが多いですが、保護者の方にも安心していただけるような診療を心がけています。